2018年12月10日月曜日

失われたTransformを取り戻す。

こちらはHoudini Advent Calender 2018 10日目の記事です。
https://qiita.com/advent-calendar/2018/houdini

ジオメトリの形状からTransform(位置、回転、スケール)を取得(作成)し、別ジオメトリを追従させる方法です。
この間同僚にやり方を聞かれ、これまで何人かに同じ事聞かれたので記事にする事にしました。
本当はこのような場面(Transformデータが無い)は出くわすのを避けるべきですが、
データが連番ジオメトリしか残っていないっ!なんて場合に使えます。
(基本AlembicやFBXでTransformデータが残っている場合はパラメーターをchで繋げるのみです。)

以下は結果です。
ドーナツ(Torus)ジオメトリのアニメーションに、ぬいぐるみ(rubbertoy)が付いて行っています。



Transformをつくる全体を簡単に説明すると、

ポジションは全体の中心座標、回転とスケールは任意のポリゴン一枚からN、up、 pscaleを計算し、copy to points sopで流し込むという流れです。

(このサンプルではTorusを適当にアニメーションしたものをObject引っ張り、Transformのデータは無いと仮定して進めています。)
まずはグリーンの部分、
位置(中心座標)の取得ですが、ジオメトリをpack化する事で1point のみになり自動でpointの位置も中心にくるので楽で良いです。
add sopで1pointつくり でHscriptのcentroidを使用しても良いと思います。

次に回転、スケールを計算するオレンジの部分の説明です。

Torusから任意のポリゴンを一枚選び残します。
(今回は解説の為見やすいようビューポートで一枚選択してキーボードのdeleteキーを押し作成されたblast sopのオプションをDelete Non Selectedにしていますが、  blastのGroupに0とすればインプットのジオメトリを変えてもそのままの仕組みが流用しやすくなります。)


次にNormal SopでPrimitiveにNを作ります。

ここでpointタイプに作成してしまうと、次につくるupと直交した物にならないので要注意です。
直交したNとupがあれば最後のcopy to points sopで回転として上手く作用します。

次にUpとpscaleの作成です。
vector dir = point(0,'P',0)-point(0,'P',1); //ポイント番号0のポジションから番号1番のポジションを引き算しベクトルを作ります。
v@up = normalize(dir);  //ノーマライズして長さが1のupというベクトルにします。
@pscale = length(dir)*3.5;  //エッジの長さの変化をスケールとして扱うので、ノーマライズ前のベクトルdirのlengthをとりpscaleとします。
この手法の欠点は、ぬいぐるみジオメトリの初期状態をキープは出来ないので大きさや
向きを調整してあげる必要があります。pscaleに3.5をかけているのはその為です。

これでNとUp、pscaleができましたがNがprimitiveアトリビュートのままでは次のattribute copyでpack化した中心のpointに移せないので、attribute promoteでpointアトリビュートに変換します。

このNとUp、pscaleを左側のpack化したpointにattribute copyで渡します。

このポイントにcopy to points sopでぬいぐるみジオメトリを配置すると
ドーナツ(Torus)と同じように移動、回転、スケールが反映されます。

今回の様にポリゴンが斜めを向いている場合は、あらぬ方向を向いてしまうので、ぬいぐるみの初期の向きをTransform sopで調整しています。

今回はオブジェクトの中心にN , up , pscaleを持たせましたが任意のポイントもしくは、プリミティブをpackにすれば、ポイントコンストレインやポリゴンコンストレインにも置き換えられます。

以上です。

Houdiniアドベントカレンダーは2016年から続いています。Houdiniのほとんどのテクニックは古くならずいつまでも使えるものが多いので是非読んでみて下さい。




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