2014年8月18日月曜日

スキルの話。

あっという間に8月に。この前の記事から4ヶ月も経ってしまった事にビックリしています。
そしてこちらに来て最初のプロジェクトが終わりそうと言う事もあり、
今感じる技術面について触れられたと思います。

以前、海外で働いている人たちから聞いていた「こっちの仕事は人海戦術だから」と
計画性の甘さの指摘やハイクオリティの要因の説明として何回か聞いた事がありました。
少数の飛び抜けた人がいて、あとはそうでも無い人が多い、とも聞いた事がありました。

ここまで働いた感想としては、聞いていた印象とは大分違うなと思っています。
人海戦術がハイクオリティの要因としては当たっていると思います。隅から隅まで手を入れる。
日本では時間が無く諦めていた様な所や無駄とも思っていた部分にも手が入っいて、これにはカルチャーショックというか、そこまでやるのかと勉強になっている部分です。
人海戦術という言葉は自分の中ではあまりスキルの高くない人を沢山雇って仕事を片付けると認識していましたが、謙遜も含めた言葉だったのだなと分かりました。
今のチーム2人若くてジュニアポジションの人が居ますが作業のスピードはとても速く優秀です。それ以外の人たちは全員シニアレベル、テクニカルなスキルでは自分では到達できるか分からない所まで行っている人が何人かいます。シニアという言葉ではスキルレベルの説明に足りないと思いますが、自分の思う所では、Houdniではスクリプト、VOP、Point cloud、SDF、VDB、(Wrangle,Micro solver)操作等の知識、数学的にはベクトル、外積、内積、クォータニオン等のマトリックス系の知識押さえていて、複雑なエフェクトの問題解決が出来き、ショットワークのスキルも高い人という認識でいます。となりに座っているMAYAのリードエフェクトアーティストは僕が今まで出会ったアーティストの中で一番作業スピードが速く、スクリプトもバリバリかけてアートスキルも高いです。後ろに座っているHoudiniアーティストは、Wrangle、micro solver、python、数学もsiggraph等論文も理解できていて、それでいてショットワークもこなし頭の回転も速く自分の人生史上一番の天才だと思っています。しかもまだ28歳。ああ恐ろしい。

全員のシニアが完全にすべてを押さえているかどうか分かりませんが、一つ気づいた事は
外国人(第一言語が英語でない人)はテクニカルスキルが高く、母国語が英語の人はあたりまえですがコミュニケーション能力が高い。仕事をする上で何かが欠落していれば、当然それ以外の強い武器が必要で、母国語が英語で無い人はそれを補うようテクニカルスキルが高い人が多い傾向になりやすいようです。

それとこちらに来てからは、年上の人からも教わる事が増えました。普通、年上から教わるの事は当然ですが、日本では若い時期は教わりますが、ある時期から年上の人から教わる機会が激減しました。年齢が上がるにつれて新しい事を学ぶモチベーションを無くす人が多いなと思っていました。理由はいくつかあるかと思いますが、日本ではポジションが上がるとマネージメント的な仕事が増え技術的な事から遠ざかる、実務能力よりも営業能力・年齢が役職・給与に影響しやすい文化、この2つが大きい要因だと思っています。

今の会社の自分直属の3DのHeadは、技術職からあがった人で当然部下の技術の評価が出来ます。もう一人のリードアーティストは40歳すぎていますが、自分より新しい技術についても詳しい。
技術的に難しい問題を解決できる人が評価をきちんと受けれる環境があります。
この環境は日本では中々見つけづらいのではと思いました。それが新しい事を学ぶモチベーションを無くす人が多い理由に繋がっていると思いますし、それでは年齢が上がるにつれてパフォーマンスが上がるどころか落ちる要因にもなりかねませ。上司が部下よりもスキルが劣っている、又は理解していないなんて事もあるかもしれません。このポイントが変われば日本のCGの進化のスピードも上がのではと思います。
(日本のVFXはハードソフトの進化の恩恵以外ではクオリティは4、5年止まっていてる様に思います。逆にアニメ3Dは抜群に進化している。)

3DCGの仕事は、ちまたで認識されているよりも遥かに複雑でソフトも全体を把握出来ないほど巨大化しています。それを理解し操る能力にたけている人に正当な評価がされる環境がもっと日本にも広まるといいなと思いました。技術系の人頑張って出世して下さい!

ちょっと真面目に書きすぎたので大分疲れました。
今度は気楽にモントリオールでの暮らしについてでも書けたらと思います。
ではまた。