2014年4月24日木曜日

日本と海外の仕事の差。

FXチームの面々

働き始めて1ヶ月が経ちました。
この1ヶ月は濃かったなー やはり新しい経験をした時は、振り返ると時間をとても長く感じる。
当たり前だけれど、同じ様な日々を過ごしてるとあっと言う間に時が経ってしまう。
こうやって常に新しい経験をして、人生を長く感じて生きていきたいものです。

大分生活にも仕事にも慣れて来たのか、今日ふと考えた事がありました。
海外と日本との仕事の違い。
海外の仕事(ハリウッドの映画仕事)は、バジェットがあり関わる人数も多く
パイプラインがあり各ディビジョンをショットが渡るので、必然的に関わる人数は増える。
だけでなく、同じディビジョンのアーティストが一つのショットに複数人入る場合もあります。
そしてリテイクもディビジョンをまたぐのでアニメーション一つ修正が入れば、
エフェクトもまた修正なんて事が多いですね。これは1人でしてても一緒ですが、
複数人関わる分より時間がかかります。
日本では同じディビジョンの人が複数人同じショットに関わるケースは大分少ない。
特に実写の仕事では殆ど経験ありませんでした。

そして、スケジュールも日本より長いだろうなと思っていました。
全体をみると確かにそうなのですが、個々の作業単位でみると、
Dailiesでフィードバックを受けての修正対応スピードはとても早く、
たった1ヶ月ですが日本ででやっていた時よりも作業速度は大分速くなりました。
(海外ではもっとゆったり仕事してるかと思ってたのに。。。)
日本ではクライアントや監督と直接対峙する仕事が多かったので、
完成までの効率の良さというか、手の抜きどころを押さえたり
技術に深入りしない(できない)で完成絵まで一直線で仕上げるという感じでしたが、
こちらでは責任がある範囲の中で隅から隅まで知り尽くしている必要があり、
絵的に格好良いだけでなく、よりデータ的にも正確に仕事をする様になりました。

そしてこちらのスケジュールはとてもきっちりしています。
上手く進んでいようがいまいが、毎日決まった時間にチェックがあります。まるで
日本の電車のようにきっちりしています。日本のCG業界はこの辺りは大分フレキシブルですね。
自分がCGディレクターをやっていた時は、ショットを担当している人次第で
チェックのタイミングが決まっていました。
Dailiesという文化?システム?を知らなかったと言う事もありますが、
慣例で過去の先輩がそうしていたから自分もそうしていて、チェックのタイミングの
スケジュールにまで目がいっていませんでした。
Dailiesとまでいかないまでも、スケジュールをきっちり決めた方が良かったなと。
最初は慣れないとキツく感じますが、慣れればこちらの方がチェックする側もされる側も安定して仕事が出来ると思います。

日本ではDailiesを導入している会社はまだまだ少ないですが、理由の一つに
日本の文化では個々に対する信頼度が強い(=だまってても手を抜かないとお互い思ってる)
ので根付きづらいのかなと思います。
海外では色々な人種、そもそも人間の幅(生き方や表現の仕方)が広いので、
毎日、責任者がキチンとオーガナイズする文化システムが生まれたのではないかと思います。
完全に個人の憶測ですが。

話がそれていますが、CG業界に限らず日本のこの「個々の裁量に任せる」文化というのは
大きな落とし穴がある様に思います。特に仕事では。
キッチリ決めない事で自由を得ている様に思えますが、段々と強い方に
つまりお金を払う側に結局は裁量が行き過ぎてしまうのではないかと思います。
例えば、見せたい時ににチェックしてらえれば良い=常に自由時間で一瞬聞こえは良いですが、
同時にその分の責任もあり、チェックまでのスケジュールを全て自分で決めなければ
行けません。その結果、そろそろ見せないとヤバい→徹夜なんて事にもなるのでは
ないでしょうか。そもそもクライアントの無茶ぶりに対応して徹夜というパターンは
多いと思いますが、自分たちのスケジュールをキチンとしておけば
クライアントの無茶ぶりへの交渉時の材料になるのではないでしょうか。
(日本では仕事中にTwitterやFBしてる人も多いですが、こっちでは余り見かけません。)

前の会社でもDailiesがあったので、たまにその話を別の会社の人に話すと
抵抗がある人が結構な割合でいたのを覚えています。
キッチリ集中して6時に帰るか、自由なかわりに徹夜があるか、選べるなら前者を選ぶと思いますが、
日本の状況を考えると、クライアントの無茶ぶりに加えて毎日チェックかよっ!な
気持ちになるのは当然です。
ただ、クライアントとの裁量の奪い合いに、お金の力があるにせよサービスさせられ過ぎなのでは?
と、歯がゆい気持ちでいます。日本のCG屋も優秀なのにもったいないと。
海外に出たのは、技術的や作品的な興味ももちろんですが
文化的ないい面も吸収して、日本のCG業界に少しでも良い影響を与えられたらと思います。

たった1ヶ月で分かった風に長々と書いてしまいましたが、
珍しく文化的な話になったので、次はもう少し技術やこちらの人のスキル的な話が出来ればと思います。

ではでは。

追記
前から思っていた感想ですが、海外では上手い事責任を分散させていますね。
分業もそうですが、コーディネーターがいたりDailiesでスケジュールをシステム化するのもそうですが、
責任を分散して個々に集中しすぎない様になっているとなと。
責任の所存を明らかにする代わりに、個々の責任の大きさを小さく出来ていると思います。
所存をなあなあにすると、たち場が弱い方へ全責任が集まるなんて事になりがちですよね。